2021年凱旋門賞は外からよく分からない馬が強烈に差してきた!というイメージが未だに鮮明に残っている。グリーンチャンネルの中継では別の馬がズームされておりもう頭は混乱状態だった。しかも馬券はハナ差争いをしているタルナワが軸なのだからあとは配当…と思いつつもそんな知らない馬を買っていただろうかと二重苦だった。トルカータータッソ。父アドラーフルク(Adlerflug)のドイツダービー2着、バーデン大賞1着の実績馬だった。2022年も出走予定であり、キングジョージ2着、バーデン大賞2着と昨年と比べるとやや出来が落ちている印象はあるが本番も侮れないだろう。現にブックメーカーでは上位人気に支持されている。
トルカータータッソの父Adlerflugは2007年ドイツダービー馬。11戦4勝でGⅠは2勝とそこまで華やかな成績ではなかった。しかしながら注目したいのはその産駒の成績だ。トルカータータッソは2021年凱旋門賞を制したが、2020年2着のインスウープもAdlerflug産駒だ。トルカータータッソとインスウープは同世代であるがインスウープはフランス調教馬、トルカータータッソはドイツ調教馬という違いがある。ジャパンカップにも来たことのあるイトウやイキートスもAdlerflug産駒である。イトウはインスウープの全兄でもある。そしてAdlerflugの父はIn the Wingsである。In the Wingsはサドラーズウェルズ産駒で1989年凱旋門賞で1番人気に支持されるも11着と惨敗、1990年にフォワ賞を快勝し凱旋門賞に出走するも4着と凱旋門賞とは相性が悪かった。In the Wingsの代表産駒は日本でもなじみのあるSingspielでありアサクサデンエン、ローエングリンと繋がり2020年代でいうとロゴタイプ、トーセンスーリヤに継承されている。ちなみにサドラーズウェルズは1984年凱旋門賞で1番人気8着に敗れている。
In the Wingsの母父にShirley Heightsがいる。1978年イギリスダービー、アイルランドダービーを制した。その父はミルリーフで1971年凱旋門賞を制している。ミルリーフの血はラストタイクーンにも入っている。トルカータータッソの4代前の血統にトランポリノという馬もいてその馬は1987年の凱旋門賞を6番人気で勝利している。
トルカータータッソの血統表には凱旋門賞を制覇できなかった実績馬も多く並ぶ。そういった意味で2021年の凱旋門賞優勝はトルカータータッソにとって非常に価値の高いものだった。2021年と全く同じローテーションで臨むディフェンディングチャンピオン、願うのは雨の泥んこ馬場だ。